2018年2月8日 更新

伊豆熱川温泉 源泉湯守り 玉翠館『湯守り』會田 淳一さん

『湯守り』とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「お湯」を「守る」人。すなわち、温泉を管理する仕事をする人のことです。今回は伊豆熱川温泉の『名湯守り』としてご活躍の、會田 淳一さんにお話をうかがいました。

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伊豆熱川温泉 源泉湯守り 玉翠館でフロント、湯守りをしている會田淳一です。
東京出身で、前職はトラックの配送をしておりました。新しい業種に挑戦してみたいという思いから、10年くらい前に 奈良偲の里 玉翠 のオープニングスタッフとして入社しました。その1年後、源泉湯守り 玉翠館への配属となり今に至ります。趣味はドライブと旅行です。

仕事の内容は?

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『湯守り』とは、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、「お湯」を「守る」人。すなわち、温泉を管理する人を表す言葉で、私の今のメインの仕事です。多くの旅館が循環器を使用して温泉を管理している中、ここ玉翠館では、伝統の『湯守り』による温泉管理にこだわり続けています。
当館で使用している伊豆熱川温泉の源泉の温度は97℃あります。それを常に「人が一番気持ちよく入れる温度」に調整・管理するのが『湯守り』の仕事です。

入社したてのときは、温泉の管理、バルブ操作を誤り、大浴場を50度近くにしてしまい、あやうくお客様をやけどさせてしまうところだったこともありました(苦笑)。
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人肌は、1℃違うだけで熱い、温いが変わります。更に、湯量や気温が毎日異なる中、常にお湯を快適な温度に保つのは、とても難しい仕事なのです。

温泉の温度は手のひらではなく、手首で測ります。最終温度チェックの時、自分の手首が腫れてしまったのを今でも鮮明に覚えています。
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また、97℃という高温の温泉を活かし、当館には「砂風呂」があります。その砂風呂でお客様に熱川の温泉のウンチクを語りながら砂をおかけするのも私の仕事です。たまに滑ってしまうこともありますが(笑)お客様との会話はこの仕事の大きな楽しみのひとつです。

仕事のやりがいは?

「温泉管理の難しさ」この裏返しが「やりがい」でもあります。直接でも、接客係さんを通してでも、お客様に「いいお風呂だ」とおっしゃっていただいたとき、私も温泉に浸かったようにいい気分になれます。

実は、オープニングスタッフとして入社した「奈良偲の里 玉翠」から現在の「源泉湯守り 玉翠館」に異動になったときは正直ショックでした。フロントとして仕事をしていましたが、当時は口下手でお客様との会話が詰まってしまう事も多々ありました。そのため、社長から異動を命じられた時は、フロント失格のレッテルを貼られたのかなと思いました・・

しかし、そのとき社長に言われた言葉が、今でも忘れられません。
社長「會田。まず、玉翠館に『湯守り』として異動してもらう。旅館で職人といったら、誰を思い浮かべる?」

私 「料理長、ですかね。」

社長「だろうな。でも、『湯守り』も料理人と同じくらい職人であるべきなんだ。」

私 「温泉の管理なんて誰でもできそうですし、技術も何もないんじゃないですか・・」

社長「周りが見えていない、今のお前だとそう思うだろうな。」

私 「フロントから降格ですか・・」

社長「フロントに加えて『湯守り』だ。一番管理の難しい、玉翠館の『湯守り』を任せたい。お前の丁寧、慎重すぎる性格は湯守り向きだ。」

私 「わかりました。頑張ってみます。」

社長「ちなみに、昔は『湯守り』は旅館の花形で、弟子は三年間バルブすらいじれなかったんだ。今周りを見渡して湯守りがあまりいないのは、みんな温泉の循環器、機械による温泉を使っているからだ。しかし、それだと温泉の質が落ちるし、気温などを考えてベストの温泉をお客様に提供できない。うちは、『湯守り』による温泉管理、『人の手』による温泉にこだわり続けていきたい。源泉湯守り 玉翠館の『湯守り』はお前なんだ。よろしく頼むぞ。」
この社長の言葉を肝に銘じ、玉翠館の『湯守り』として働き始めてから10年近くが経ちました。
まだまだ未熟ではありますが、「いかにお客様に一番気持ちよい温泉をご提供できるか」にこだわり、日々考え続けております。

近所のお勧めの観光スポットは?

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高台から伊豆熱川と海を一望できる「桜山パーク」がおすすめです。あまり知られていないのもポイントです。実はこちら、知る人ぞ知る、熱川温泉で年3回行われる花火大会の鑑賞スポットです。
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若干わかりにくいのですが、熱川ハイツ寮の下に車で行ける入り口があります。また、駐車場までの道はかなり狭いので気を付けましょう(笑)。

温泉街からも徒歩で行く入り口がありますが、急斜面+階段ですので、汗を流すこと必至です。でも、汗をかいたあとの熱川の温泉は、より身に染みるでしょう。
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