2020年7月2日 更新

自分が得意な分野で地域の子供に未来を。「時代」と「地域」を越える地域教育を目指して。

東伊豆町地域おこし協力隊、うたのおねえさん、ミス雛のつるし飾りなど、様々な顔を持つ、Beauty Japanファイナリスト、高瀬真由さんにお話を伺いました。

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【自己紹介】

はじめまして。地域おこし協力隊の高瀬です。現在は、東伊豆町に住んでおりますが、実は東京出身です。都内にいた時には、音楽家として、うたのおねえさんを目指しておりました。東伊豆町のミスコンテスト、ミス雛のつるし飾りに選出されたのをきっかけに、2年前に東伊豆町に移住してきました。ミス雛のつるし飾りが終わった後は、地域おこし協力隊として東伊豆町への在住を決めました。観光イベントでの演奏や、地元の学校での演奏などをしています。自分でいうのもなんですが、音楽家で都内から地方に移住を決めた珍しい存在だと思います。その裏には挫折、気づきなど、紆余曲折がございます。この場を借りて、それらをお話しできればと思います。音楽家らしく、私が好きな音楽の名前に沿って、お話しさせていただきます。

【夢破れて…】

悲壮感が終始漂う、レ・ミゼラブルで有名なこの曲。子供のころからずっと夢だった、NHKの「うたのおねえさん」。最終選考で落選してしまいこの夢が潰えた時は、頭の中にこの曲が流れておりました。就職先という視点ではなく、人生という視点で迷う日々。
「私、なんでうたのおねえさんになりたかったんだっけ?」これを考えているうちに、ある道筋が見えてきました。昔子どものときに聞いていた、うたのおねえさんの歌う童謡。大人になってこの意味が分かったとき、勇気をもらいました。それと同時に、10年、20年という長いスパンで子どもたちに勇気を与え、人生の指針を示すことの素晴らしさに感動をしました。これを多くの子どもたちに伝えるため、うたのおねえさんを目指すことを決めたのでした。この当初の想いにふり返ると、多くの子どもたちに伝えることはできないかもしれないけど、その分、一人一人の子どもに深く伝える方法があるのではないかと考えました。そのような想いの下、「現場に出向くうたのおねえさん」として、演奏者と演奏希望者をつなぐNPOにボランティア登録をしました。保育園などでうたの演奏を重ねながら、「広さ」への憧れより、「深さ」の楽しさが大きくなってきました。「深さ」が大きくなるにつれ、スポンサーの方もついてくれ始めました。そして、私の人生の転機である、東伊豆町のミス雛のつるし飾りコンテストを見つけました。
「現場に出向く、うたのおねえさん」

「現場に出向く、うたのおねえさん」

こうやって一緒にうたを楽しんでらうときは、私もとても楽しいです。子どもを通じて、自分も気づかされることがとても多いのです。子どもたちだけでなく、自分自身も成長できる瞬間です。

【新世界より】

チェコの音楽家であるドボルザークの名曲です。チェコ出身のドボルザークにとっての新世界は、アメリカだったと聞きます。私にとっての新世界は、移住を決めた東伊豆町です。学生のときからこの町が大好きで、この町の旅館に何軒も泊まっておりました。たまたま見つけた東伊豆町のミス雛のつるし飾りコンテスト。少しでもこの町に貢献できたらなと思い、応募しました。縁あってミス雛のつるし飾りに選出され、私にとっての新世界、東伊豆町への道が拓かれました。
この新世界で何ができるのか。これを模索しながら過ごした2年間。熱川温泉の観光イベント「キャンドルナイト」、稲取温泉の「細野高原」でコンサートをしてみたり、熱川温泉のHPをリニューアルするプロジェクトでBGMを演奏してみたり、雛の着物で都内にキャンペーンに出てみたり、かたや作業着で畑仕事をしてみたり… 無我夢中で様々なことに挑戦しました。

 挑戦をしながらも、ひとつ腹落ちしきれていないことがありました。それは、私の根底にある、「音楽を通じて、子どもたちへ何かを伝えたい。」という想いに、新世界での私の行動が繋がっているかです。東伊豆町は観光が盛んな町です。ミス雛のつるし飾りのお仕事に、観光関連の仕事が多いのは当然です。でも、心のどこかで引っかかります。観光、うた、子ども・・・新世界で混乱し、旧世界に帰りたいと考えた時期もありました。

 しかし、私のうたのおねえさんのインスタグラムを見て、東伊豆町に来ていただいたお母さんの方々が5名様もいらっしゃいました。「まゆおねえさんのいる東伊豆町にいってみたい!」というひとこと。とても嬉しく、観光と私の活動、少しは繋がっているのかも、答えはまだ見えないけど、もう少し頑張ってみようと決めました。その答えを見つけるため、ミス雛のつるし飾りは2年間で終わるのですが、その後も地域おこし協力隊としてこの町に残ることを決めました。

熱川温泉観光協会PV 冬〜春

熱川温泉と京都大学の共同プロジェクトとして、熱川温泉観光協会のHPをリニューアルいたしました。私もプロジェクトメンバーの一人として、旅館の若旦那の方々、学生の方々、テーマパークの方々などと一緒にプロジェクトに参加しました。このBGMは、熱川太鼓という、地域の伝統の音楽を私がピアノ版にアレンジしたものです。また、温泉モデルは私です(笑)

【ザリガニ釣りin大川温泉】ホタル育成プロジェクトだよ!

東伊豆を知ってもらうため、youtuberとして体を張っています(笑)
こちらはザリガニ釣りですが、他にも面白いyoutubeがありますので、ぜひ、みてみてください!

【Over the rainbow】

 有名なこの曲。私も東伊豆町熱川温泉の観光イベントで、こちらを生演奏いたしました。この歌を聴いたとき、私は2つの想いがこみ上げてきます。越えるのは「虹」ではなく、「時代」と「地域」です。

 地域おこし協力隊としてこの町に残ってからは、地元の図書館での絵本の読み聞かせとうたの演奏、地元の小学校、中学校での講演など、子どもたちに触れ合う機会が増えてきました。ミスとしての仕事が少なくなったためです。そのような活動を通じて、ある悲しい気づきがありました。それは、観光地の子どもたちなのに、自分たちの町を知らない、魅力的に思っていないという現状です。子どもが学生になって都内の学校に通っているとき、「東伊豆町ってどんなところ?」と友人に聞かれた際、「何もないんだよね。」と答えてしまう悲しい現状。町のみんなは、出て行った若者が帰ってこないなどを問題視しております。しかし、子どもの段階で町に魅力を感じていなかったら、大人になったとき、帰ってこないのは当たり前です。町の子どもたちを触れ合うにつれ、この悲しい気づきはより確固たるものになっていきました。それと同時に、「この町にとっての観光は、今の子どもたち、未来の大人たちに、自分たちの町の魅力を伝える一つの道具」なんだと気づきました。私が子どもたちに、「うた」を通じて伝えたい何か。この町が子供たちに、「観光」を通じて伝えなければならない何か。これらは「時代」を越えた教育という観点で、共通しているのだと思います。私の根底にある想いと、この町にとってとても重要な観光が、深く繋がっているのだと確信した瞬間でした。子どもたちに「時代」を越える教育をするために何ができるか。これを考え続けます。

 また、東伊豆町のような観光地は日本にたくさんあります。そして、多くの町が、この町と同じような課題を抱えているのではないでしょうか。そのような町のために何かをしたいのは山々なのですが、私は東伊豆町が好きなので、東伊豆町のために、東伊豆町の子どもたちのために活動します。「地域」を越えて活動することは、私にはできません。しかし、私の姿をみた誰かが、自分の得意なことをいかして、自分の「地域」のために頑張ってくれたらなと、切に願います。 

 この度、私の活動を評価いただき、社会活動をする女性を表彰するBeauty Japanにノミネートいただきました。私にとってのグランプリは、SNSの「いいね!」を大量獲得することでも、表彰台に登壇することでもありません。1万人に「いいね!」をもらっても、あくまで共感していただいたに過ぎないからです。重要なのは、誰か一人にでも「行動」をしてもらうこと。私の姿をみた誰かが、「自分も得意な分野で地域の子どもに何かを伝えたい!」、そう思ってどんな小さなことでも行動に移してもらうこと。これこそが「地域」を越えた姿です。そんな姿を目指して、Beauty Japanの最終選考、地域おこし協力隊の活動、地域教育、全てに取り組んでいきたいです。
「子どもたちから気づかされること…」

「子どもたちから気づかされること…」

コンサートのときには、もちろん子どもたちと一緒にうたを歌い、うたを楽しみます。うたで心が通じ合ったら、この写真のようにそれ以外の会話ができます。そのような中、地域の子どもたちの意見から、地域の課題に気づかされました。
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